【日刊レビュー】おもしろいゲームシナリオの作り方

人生の中で「こんだけの偶然ってあり得るのか??」と思ったりテレパシーの存在を感じたりすること、ないでしょうか。 

「もう、このシナリオは絶対無理。誰もやらないなら俺が全部直します」

とさる炎上プロジェクトの架橋で上訴いただいたことがあり、あまりの長文の指摘と「それ言う?そこ言う?今言う?」の三拍子でひっくり返ったことがありました。

代案を出した人も、覚悟完了って意味で言えば誰だって最初は覚悟してるもんで、人を変えたところで出来るかどうかなんてわからないものです。

「でも、このままじゃ話にならないってのはわかりますよね?」

「だからと言って君や我々の誰かが代われば出来るかもわからないよ」という苦しい押し問答をした末、簡単なプロットを持ち寄ってコンペをしようという話になりました(この時点で元の担当者(重病という設定の人)がもし出勤したらと思うと失禁もののプレッシャー)

そんな重い気持ちを引きずって帰宅するとポストに入ってたのがこの本です。

おもしろいゲームシナリオの作り方 ―41の人気ゲームに学ぶ企画構成テクニック (GAME|DEV|LAB)

おもしろいゲームシナリオの作り方 ―41の人気ゲームに学ぶ企画構成テクニック (GAME|DEV|LAB)

 

なんじゃそりゃーー!!

オライリーさんからはたまに献本いただくのですが、まさか今日この瞬間この本かよ!!!と思いつつ、時限爆弾の解除に突然直面した人が解体マニュアル読む気分で一気読み。

出だしはメタルギア、FF、クロノトリガーなどの往年の名作と、どうしたフックがポイントだったかの考察が述べられてるのですが、元同僚の仕事も多く(昔スクウェアという会社にいた)「まさか今私があなた達(元同僚)の仕事がいかに素晴らしいの講釈を泣きながら読んでいるとは思うまい、ツーか助けて」と思いながら、突然勃発した苦難に苦笑。

さすがシナリオの本、褒め方も劇的で「ゲーム史上最高のストーリーと考えてる人も多いゼノギアスでは・・・」ゼノギアスー!!俺、高橋さん(監督と崇拝されてる人)ん家でその時は毎日スト2やってて、宇宙ネタとか出して採用されたよー!!とか、だんだんマインドセットがその時代の厨二病話に明け暮れたゾーンに戻って行きました。

そうこうして、その時の可能性でどこまでできるかを考慮しつつ、フックや山場を盛り込んだプロットを書き、運命のプロットコンペという決戦へ。

爆笑のコンペ、そして敗北へ 

果たしてコンペではあっさり敗北する社長だった私の力作。カミさんはすごくツボッたらしく「何でも社長が救うとかやってたら皆死ねって思うよ、負けて社員に花持たせるくらいいい加減やれよ、絶対それでよかったよ」と敗北が大絶賛されました。

敗因の言い訳で言えば、その時はそこまで作られてたグラフィックを流用できるようにしないとさすがに制作期間がないので、いう人によってはゴミ同然に言われてたキャラも出しどころによっては味がつくでしょ(キャラは設定次第で生き死にが変わる!)とかやってたんですが。

コンペの勝利をもぎ取ったのは、清々しいほどに一切合切かなぐり捨てて、アラレちゃんや亀仙人的な、生き生きとした新キャラを軸に全く別の世界になったアイディアでした。

皆でゲラゲラ笑ってプレゼンを聞いてましたが、体育会系の部活の打ち上げで焼肉を好きなだけ食われて勘定を持つ顧問の先生のように、追加でかかるコストに目がチカチカ。

しかし、その後、欠点として、ギャグ満載の楽しさになったものの、話のフックは何かとか、起承転結でユーザーはストーリーのベースの何を追ってくのか、のまさに前述の本に載ってる骨格が弱いことが問題に。これだと元を全ボツにしても同じ素人的な落とし穴にはまる懸念があると。

そうこうしてるウチに、タイトル(トキノラビリ○ス)から世界観を連想させ、事件を追ってるウチに世界を巡る、シナリオの基本を踏襲した本編パートを私が、1話完結でギャグが冴え渡るイベントパートをコンペで勝ったあっつーくんという分業で落ち着いたのですが、内輪の応援でもありますが、提携会社の人も「このシナリオ、今のソシャゲで一番面白いですよ!!だから!!絶対頑張りましょう!!」と励ましてくれたりして、一連の騒動と山を越えたチームをねぎらってくれました。

結構な長編シナリオをハゲあがるほどの短期間で勉強しながら一気に書き上げる体験をしましたが、なんとかまとまった末の感想を聞くと、苦難の中の選択でしたが貴重な実践をする機会をいただけたのは良かったなぁと思います(悪い面は割愛・忘却します!)

っという壮絶な実践体験付きのレビューでした。この本を読めば、そんな事が、成し遂げられる事もあります!