開発者大募集中☆ゲームの感動を作るパートの話

先日から大募集をかけている新スタジオのメンバー

まだ経験者もそんなに多くいないであろう開発環境での採用課題(Unityでパチンコを作る)を出したので応募もある程度絞られると思ったものの、面白いPRが揃いつつあり、非常に先が楽しみであります。

しかし、「もっとレベルデザインが出来る人材が欲しいぜ!っていうか育成もしたいぜ!!」

と思ったものの、この、レベルデザインって言葉、日本では浸透が怪しい気がするんですよね。


レベルデザインって知ってます?

簡単に言えば、ゲームの面を作る人。
要はロードランナーのエディットモードでブロックやハシゴ置いてステージを作る人です。
(※70年代以前の生まれじゃないとわからないネタ)








残念ながら、ロードランナーでエディットしたステージを採用課題として送っていただく方法がないので、現在、弊社の採用課題では、パチンコを作って送ってもらうことになっています。

http://www.unitygames.jp/game/ug2170051

こちら↑のリンクから実際に遊べますが、この例では「鹿威しに玉をタメて一気に放出する体験が面白いであろう」ことを想定して組んだものです。


レベルデザインって、「このパズルを解いてクリアしたら面白い!」「この仕掛けを使ったら面白い!」というユーザーの体験を想定してステージを組み立てます(っていうか、ステージのことを欧米ではレベルっていうのです、なので、レベルデザイン=ステージデザインです)

現代的に言えば、↓のPortalというゲームなどで、1ステージを作れたら立派なレベルデザイナーと言えるでしょう。

↓からDL出来ます。現在$9.99(750円!) Mac/Windowsで遊べます。全企画職必見。
http://store.steampowered.com/app/620/


↓さらに言えば、今年でたPotal2はもっと必見です。むしろこっちだけでも絶対やった方がイイ。$29.99(2300円※11月24日現在、セール中でなんと$10ドル、750円です!!)
http://store.steampowered.com/app/620/


Portal2がなぜ、そこまで必見かと言えば

  • コレまでのレベルデザインを遙かに超越した練度の完成度
  • それでいて極めてシンプル
  • 400万本以上を売り上げ、一般的なゲーマーはこのレベル以上のものを今後求めるのは必死

として、ゲーム業界では非常に注目された一作です。

なんといっても「やらなければわからない」最大の理由は、愛情溢れる程に作り込まれた世界観と、そこに引きずり込まれざるを得ないユーザーの感情移入は、同じ体験をしなければ理解は不可能です。



シンパシー(共感)とエンパシー(感情移入)


ゲームをプレイした人がゲーム中で体験したことを他のユーザーと話すと、「あ!あそこ!マジびびった!」と共感する瞬間などありますよね。

そうした瞬間をレベルデザイナーも共感するというか、何度もテストプレイしたりすることで事前に共感するポイントを察知し、ユーザーが「ここに来たら恐怖を感じるであろう」場所をさらに盛り上げるためにムードにあった音楽を設定したり、まるでそこに友達がいるかのように、場面にあった台詞を入れたりして、プレイヤーの感情移入に揺さぶりをかけます。

そうした追求が家庭用ゲーム機ではかなり進化していて、いくつかのゲームは神がかってると言えるレベルです。

この↑アンチャーテッドも大変な完成度で人気ですが、ホント、プレイヤーが感じることを場面に合わせて仲間も主人公も旨いタイミングでよく喋るし小道具もいい具合に悪戯をしてくれます。

欧米のゲームがファンを熱狂させる一番の要因は、レベルデザイナーがプレイヤーを熱狂させ続けるために心血を注ぎまくってるからと言っても過言でもなく、レベルデザインはいわゆるテレビの放送作家であったり、舞台の演出家などと同様、その製品の成功を担う重要な役割であるのです。



日本の技術は遅れてる?


ここ数年、日本製のゲームが欧米に比べて遅れてるんじゃないか、、という話題もよくありました。

確かに、そういう印象を付けた残念な作品もあったのは事実と思いますが、クリエーターのレベルが絶望的に遅れてるかと言えば、これは楽観的に、全くそんなことはないと思います。

まず、技術に関して言えば、実はほとんどの技術は既にオープンソースやら、定番のミドルウェアやらで、実はどの国も使ってるモノはだいたい一緒だったりします。

「でも、先端技術はいつも欧米じゃないかよ!」と言えるかと言うと、欧米と言ってもすげぇたくさんの国があるので、XXはデンマーク、YYはアイルランド、ZZはドイツ、と、実は得意な分野は各国ばらばらで、特にどの国が進んでる、とは一概に言えません。強いて言えば、売り上げが一番上がるのはアメリカなので、アメリカに支社は大体の会社が持ってはいます。

また、日本は日本でとんでもなく尊敬されてる技術は今も全然あるので(例えば萌えはまだ当分世界最強でしょうw)「世界においてけぼり」といった見方をするのは早計かなと思います。


ただ、私見で言えば、Portalアンチャーテッドを体験した欧米人から見るに、日本のゲームの体験の演出レベルは、ちょっと遅れを取ってるかな、、、という感触はあります。

そもそも、Portalアンチャーテッド、日本では欧米ほど売れてないですしね。必然、知らぬままに作られたゲームが多いことになってるのではないかと思います。


その辺は欧米人に言わせれば、スターウォーズを知らずにSF映画を作ったり、スタバを知らずに喫茶店を開くのと同じように感じられ、サービスが悪いと言わせてる可能性もあったかも知れません。


いずれにせよ、「技術が高すぎておいつけない」というと、なんかもう、どうしょうもない印象を受けますが、前述の通り技術はお金で買えますし(無論、勉強も大事です)、例に挙げた作品達を見ればわかるとおり、丁寧に作り込まれたレベルデザインは世界のゲームファンを熱狂させるのに欠かせない要素です。

っというわけで、レベルデザイナーをもっと募集したいな!という話でした。



どこまでやれば客が喜ぶ?評判のゲームをやって勉強しよう!

レベルデザインでプレイヤーを唸らせるには、プレイヤーが唸ったレベルをプレイして、どれ程の要求なのかを体で覚えるのが一番です。

そういった意味で前述のPortalなどをオススメしました。

そして、ウチの会社では、ゲームを遊ぶのを推奨してるので、エンディングまでいったゲームは領収書を買い取る方針なので、じゃんじゃん研究しちゃいましょう。


だがしかし、レベルデザインって日本ではあまり聞かない職種なので、絶対数、少ないと思うんですよね。

なので、未経験の方も歓迎!といっても、全くやったこともない職種に自分が適正があるかも自信がつかないのではと思います。
(ましてや世界の最高傑作の話をしたあとに、オレもやるぜ!って未経験で思ったら、結構な剛胆という話も)



なので、ちょっと視線を落として、今回の採用課題、パチンコを考えてみてみましょう。

パチンコの課題で例えば全自動マリオ的に、見てるだけで楽しい、を表現出来たら、レベルデザインの素質はあるんじゃないかと思います。

特にiPhoneの画面サイズにこだわる必要もありませんしね。


レベルデザイナーの育成


これまでの日本のゲーム業界文化では、ざっくり「企画」という職種で募集して、↑のような適正のありそうな人をレベルデザインにしてくのがよくあるパターンで、例えるならテレビ業界志望の人をレポーターにしたりカメラマンにしたり編集にしたりと分けるのにも似てます。

なので、最初っから「企画募集!」と言ったほうが間口がひろいのですが、レベルデザインと明言すると、「なんだろうそれ」感はちょっとあるんじゃないかと、心配でもあります。


しかし、レベルデザインと明言したことと、課題を作ったことで、今回の募集をみた人が、自分の可能性を試すきっかけになってくれたらと思いますし、こうした課題を見て、頭に浮かんだイメージを、見て、触って楽しめる形に落とし込める人って、凄く貴重なんですよね。

そうした貴重な人が、可能性に気づかないなんてもったいな過ぎるので、またドクソ長くなりましたが、レベルデザインという仕事があることと、そのニーズを書き綴ってみました。


こんな長いエントリ読んだあなたなら、Portal2は是非やってみてください!そして、あなたもレベルデザインで世界をのゲームファンを唸らせてみたくなったら、是非、ご応募くださいませ。

ほんと、レベルデザイン、私も本腰入れて勉強してやってみたいです。