【日刊レビュー】なぜかスパイ映画だらけの中でMVP級の新作「キングスマン」
いやー、面白かった!
なぜかスパイ映画が豊作だった2015年。どの映画も「スパイなんて時代遅れだが・・・」という前置きをしながら始まりつつ、近代的なリアルさを出してる昨今の風潮を「ピンチをチャンス」ばりにこってり味付けした新しいスパイ映画。
「スパイには新しい解釈が必要だ」と言わんばかりの斬新極まる展開の連続、裏切りとか陰謀とかとは違う、新しいスパイスでたっぷり楽しめました。
なんともまぁ豪快で超展開だけど、オチがいいのか「だったら、ハッピーエンドって解釈でいいのでは」と思わせる剛腕展開が凄すぎる。
スパイ的な秘密組織、秘密兵器などたっぷり出つつ、アニメ的な超悪役とかも素敵。
ラスボスのサミュエル・L・ジャクソンも安定した性能。
しかし、それらの言葉からは全く予想できない超展開の連打が本作の魅力。ここまで捨て身の物語ならではの到達点と思いました。
iTunesでの評価は平均3になってましたが、「通信障害でDLできねぇ!星一つ」が続出で私もDLにはまったのですが、作品自体の評価はこぞって腰抜かしました的な意見が多数見かけられて自分も手放しで褒めたい本作。
いやー、これはレンタルじゃなくて購入でもよかったかも。
【日刊レビュー】「プライベート・ライアン以来の最高傑作らしい」ブリッジ・オブ・スパイ
「プライベート・ライアン以降でスプルバーグの最高傑作だ!!」と前評判をかっ飛ばしてるブリッジ・オブ・スパイを鑑賞。
毎月十日の千円で映画が観れる日ということで本作と傷物語とクリードの3作を半日かけて劇場マラソン。そのトップバッターの本作から号泣、皆号泣。啜り泣きすぎ。
ちなみにスパイ映画といっても、アクションシーンもなければ美女も出てこないし秘密兵器もない。
おまけにスパイである張本人は「スパイ?なんのことです?」ととぼけっぱなしで認めない。
「スパイが自分をスパイとして自己紹介するわけねぇだろ」という実話ベースの世界観が実に地味にインパクト抜群。本作の全編に漂う「捕まってスパイと認めれば拷問されて死ぬのが当たり前」という緊張感の土台になっています。
ちなみに出てくるスパイはこの画像真ん中のとっぽいおっさん一人だけ。右にいるのが主人公のトム・ハンクス、彼の仕事は弁護士さん。
FBIの懸命な捜査活動でやっと逮捕したしょぼいおっさん(=は見せかけで、本当は凄腕のスパイのはずだ!!)を正当に逮捕する上で、ちゃんと国選弁護人をつけるってところでトム・ハンクスがご指名されるという流れ。
弁護人になってしまったトム・ハンクスはオウム裁判の弁護士のごとく冷ややかな目で見られ続ける逆境になってしまうが、、、って流れ。その先は語らぬ方がいいかと思いますのであらすじは本当に序章のこの辺までで。
ちなみに話は冷戦まっただ中の1957年。核戦争の脅威に誰もが怯える中、敵国(=ソ連)への嫌悪感を誰もが丸出しにする時代を描いています。
なんといってもこの話題作の基盤にあるのはシナリオがコーエン兄弟(まさに傑作脚本量産マシーン。ファーゴやノーカントリーもお勧め)、監督はスピルバーグ、主役がハンクス、そしてアクションシーンや派手なVFXは一切なしの、究極の職人映画。
セットが完璧。衣装が完璧。エキストラ・モブが完璧。まさに舞台の1957年に最新のカメラを持ってって撮ってきたんじゃないかと見まごう完璧な空気感でタイムスリップしたような時代劇体験。職人芸ここに極まれり。
「完璧な仕事は目を奪う」を実証するようなオープニングから一気に作品の世界にダイブされられ、劇場に足を運んだ至福が3秒で訪れる思い。
とかく関心させられ感動させていただけたことを書くときりがない本作。
コーエン兄弟・スピルバーグ・ハンクスの妖刀のような切れ味を思いだすたびに唸ります。
【日刊レビュー】かっこよさの塊「スペクター」
映画が安く見える109のということでやっと観てきたボンド最新作。
来週になったらスターウォーズ一色になるのは間違いないので滑り込みって感じ。
とにかくオープニングがむっちゃカッコえぇええええ!!!
フェードインして10分は釘付け!!!一発でボンドの世界観にフォーリンラブ。
史上最高に忍んでないスパイ達が織り成す大スケールの攻防戦にお話の中の世界の人たちも騒然。
多くを語るのも野暮、少しでもかっこいいかもと思ったら是非このオープニングは見て欲しい。
つーかここのとこのボンドというかMI6といえば「スパイなんて過去の遺物」という自虐ネタと、過去の遺物と思わせといて大繁栄してるスーパー悪の組織って文法と、とにかくハッキングしたもの勝ちでQの立場がガンガン強くなってる印象ですが、そうした世論背景も合わせながら、しっかり悪の組織は立派な宮殿を築き上げてくれてたり、美女と乗り込んでその努力の結晶を独自の裁量で灰塵にしてくマーダーライセンス007は、ある意味最も007らしい流れ。
ナイツの漫才が必ず期待を超えてくるような、ひねってよじれて途中でワープするような作り手の圧倒的な器量の大きさをしっかりエンジョイさせてくれました。
もしかしたらダニエル・クレイグ最後のボンドか?と思わせる演出も多いですが、その流れでエンディングががっつり007で、クレジット中も誰も席を立つことなくメインテーマを楽しんでたのも印象的でした。
映画はサム・メンデス監督の2連投でしたが、そろそろEAの新ボンドゲームもでねーかなと夢膨らむ劇場体験でした。
【日刊レビュー】究極と志向の戦車映画・ガルパンとフューリー
冒頭8分が観れるこれが楽しめたら、見る価値は大いにあり。
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【日刊レビュー】男なら観ろ!ブラックレイン
仕事中のテンションを上げるサイドスクリーン映画として抜群のリプレイ率の一作。
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監督のリドリースコットにして「最高の悪役」と言わしめた松田優作の遺作にして、ニューヨークに迷い込んだYAKUZAと凶暴とセックスシンボルの塊こと刑事マイケル・ダグラスの激突。おまけにアンディ・ガルシアと高倉健まで付いてくる。
ついでに言えば撮影はヤン・デボン、音楽はハンス・ジマーだ、数え役満でダブルまでいくぞ。
もう配牌で字一色か?ってほどの空気感とサウンド。そこからアクションシーンへ移る緊張のグラデーション。たまらん。
ラストシーンからクレジットロールまでのテンションのつなぎが大好きで未だに「あそこだけ見よう」と思って起動したら、結局最初から最後まで見る羽目になる。そんな映画。
多少古い映画なので観てない紳士もいるやもですが、男なら観ろとしか言えない名画です。
【日刊レビュー】至高の3D映画:ゼロ・グラビティ
半年に一度は再鑑賞したくなる、至高の究極環境脱出劇ことゼロ・グラビティ。
昨日見た時は初めて日本語で鑑賞。字幕ない方が没入できるけど、正直、未だに字幕なしで洋画を見れない自分。この映画の純粋な画は字幕はあまりにも野暮なので日本語で大正解と認識。
宇宙空間ということで音響効果は薄めなので日本語音声でもエフェクト感はほぼ一緒なので日本語鑑賞がベストと今更ながら思いました。
でもジョージ・クルーニーの渋い声が聞けないのだけ残念。
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さてこの映画、登場人物がジョージ・クルーニーとサンドラ・ブロックの二人だけ。そんだけで2時間釘付けになる描写も凄いが、「常識、壊しちゃいました」とお前それ甘栗じゃねぇんだぞって勢いの革新的演出の数々。
特に注目をされるのは20分にも及ぶ長尺の1カット芝居の数々。見てる側はニコ生を30分1カットぶっ通しで見てるような感覚で、宇宙で一発撮りしてきたように見える勢い。
だがしかし!!それらのカットの数々はなんと4年もの歳月をかけて練りに練った計算と、バカみたいな大掛かりな舞台装置の中で繰り広げられた男のロマン。
考案した監督も結果が出るまで針のむしろのように「大丈夫かコレ??」と突っ込まれまくりすっかりやさぐれた様子なのがまた素晴らしい。
映画『ゼロ・グラビティ』驚きのメイキング映像 - YouTube
「本物の革新を作るなら4年くらいかかるもの」という監督の言葉も、数々の賞を受賞し、至高の3D映画と言わしめた今はとても突き刺さります。
そうした革新の数々はすべて違和感除去のための裏の苦労で見てる側からは無味無臭、故の無類の純粋な絵作り。そうした限りなく純粋な宇宙の画の中で、深く重く奥行きのある人間ドラマ。
そのシンプルな味付けに世界中のファンが一発で惚れ込んだ傑作。見てないなら見るべしです!
【日刊レビュー】前情報なしで見て当たり!インサイド・ヘッド
少女の頭の中には、喜び・悲しみ・怒りを司る5人の感情達が住んでいて、彼らの決断が少女の行動を操っていた!
ってとこまでは予告とかで知ってましたが、それ以上に前情報なしで見て大正解!
それだけでは食指が動かない!って人に、もう一つだけ言えば、少女の頭の中に描かれた多彩な世界、キャラクター達が次から次へと現れては様々な生理現象に繋がったりしてくのは本当にあきませんでした。
何より、感情を表現するって直球のテーマだけなと思ったけど、そのコントラストを表現するためにあんなストーリーラインにするとはさすがピクサー、感情をつかむストーリーの作り方をわかりすぎ。さすがすぎ。
そして日本語版が完璧すぎ、こんなに丁寧に日本向けに作られたアメリカ映画って初めて見たってほど細部まで日本人がわかるように徹底的な調整。日本で作ってるんじゃないかって言っても過言でもない。
エポック度も高く楽しいイマジネーションの世界。楽しかったです!